橫濱/恋の掌話

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著者: 谷本 潤 (著)

商品コード 978-4865610635

サイズ 14.8 x 21 x 0.5 cm

ページ数 58

発売日 2016/4/12

通常価格(税込)1,210

販売価格(税込)1,210

ポイント: 11 Pt

初老の老いはどこか傲岸の風を含む。
若いときのように階段を数段飛ばして駆け上ることが出来ないとき己の体力の減退を知らされ、近くのものが見えにくくなり、白髪と抜け毛が年々盛んになるにつれ、自分も老いの坂を下り始めたと気が付く。だが、一方で、衰え、枯れ、痩せ細っていくという本当の意味での老いの訪れは、自分にはまだまだ先だと云った楽観の方が強い。
だからだろうか、老眼鏡を首から下げ、一寸したことをど忘れして思い出すのに難渋する己を、寧ろまわりに顕示して、ことさら老いの兆候を誇っている風の自分がいる。外見も中身もまだまだ若いぞ、との由なき思い込みが、そんな軽薄な振る舞いをよぶのだろう。若い人が圧倒的マジョリティである大学にいると、若いの、それは一寸違うぜ、と云った老成した先達を気取った物言いをしたくなるものだが、これなどは、老いることを蓄積や熟成と観、尊ぶべきものだとする東アジア的―孔孟的価値観と無縁でないのかもしれない。そこには、自分はまだまだ若いが、お前たちと違って老いの何たるかを知っている、との傲慢が隠れている。本当は、若くもなく、老いてもいない―ただ宙に浮いた中途半端が狭まっただけなのに…。

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